トランプ大統領のシリア空爆は、予測不能な「原始戦争」の幕開け?

米中会談の真っ最中にシリアを空爆!?するなんて、こんな事態をいったい誰が予測できたでしょうか……?

トランプ大統領は、選挙中からシリアのアサド大統領のことを、「アイツはそんなに悪い奴でもない」とか、擁護する発言を繰り返してきました。逆に、アサド大統領に抵抗する反政府軍を「素性のわからない連中」とコケにしていました。そして、そんな素性のわからない連中の支援をしていた前オバマ大統領(民主党政権)を「バカか愚か者」と、さんざんバカにしてきました。

その最大の目的は、アサド大統領と仲良しのロシア(プーチン大統領)との関係改善だと言われてきました。いわばトランプ大統領は、プーチン大統領とアサド大統領の仲に入れてもらうはずだったのです。

しかし、そのトランプ大統領が、一転してアサド大統領を攻撃したのです。アサド大統領に批判的だった前オバマ大統領でさえ、アサド大統領を直接攻撃するまでのことはしていなかったのにです!

シリアを空爆することにメリットはあったのか?

確かに、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮と、それを押さえつけようとしない中国に対して、「俺はやるといったらやる男だ!」と、警告したかったという見方もできるでしょう。また、大統領選挙時に、ロシア側から何らかの不当な協力を得ていたのではないか?という未だアメリカ国内でくすぶっている疑いを晴らすために、ちょっとばかしロシアと敵対する格好を見せたかった――という思惑があったことも否定できません。

しかし、だとするなら(本気でロシアを怒らせないつもりなら)、アサド大統領を攻撃することを事前にロシアに通告するべきで、確かにそうしていたとはいえ、空爆のたった2時間前(通常は最低でも24時間前らしい)という如何にも場当たり的な通告だったらしく、そのことにロシアの外務省がカンカンに怒っているそうです。

つまり今回のシリアへの空爆は、あくまで結果として、北朝鮮や中国への警告になった、あるいは、ロシアから不当な協力を得ていないこと、同時に強いアメリカの復活を、アメリカ国内に知らしめることになった――というだけで、もともとそれらのことが目的だったのではなく、トランプ大統領の極めて個人的な感情が優先された故の行動だったのでは?と思わざるを得ません。

 

事態を静観するしかしない国連よりよっぽどマシ?

個人的な感情というのは、数日前にアサド大統領によって化学兵器(サリン)で殺された人々のための報復です。

アサド大統領は化学兵器の使用を否定していますが、「そんなはずねーだろ!!」というのが大方の見方で、とはいえ、アサド大統領が化学兵器を使ったかをちゃんと検証してから、それが確実だという大義のもとに、空爆するべきだったという意見があることも、実はイラクに大量破壊兵器がなかったという過去を思えば、当然頷けます。

しかし、それを検証するあいだにも、化学兵器がふたたび使用されることも否定できません。放っておけば、罪のない人や子供たちが、またサリンで殺害されてしまうのです。だからとりあえず、化学兵器があるとされる軍事施設をピンポイントで攻撃した――というのは、極めて人道的な感じもします。非難声明を出すだけで、事態の静観に留まる国連より、よっぽどマシだともいえます。

 

「金のための戦争」と「報復のための戦争」は、どっちがマシか?

イラク戦争をはじめ、近代の戦争というのは、主に経済を回すため(お金のため)、要は、各国の利害のもとに行われてきたはずです。そのために大義をねつ造(大量破壊兵器があると決めつけたり、テロの自作自演みたいなこととか)し、ほとんど無理やり戦争に踏み切ってきました。そしてそれが結果として、報復の連鎖を引き起こしていたとはいえ、もともとは「報復や感情のための戦争」ではなく、「お金のための戦争」だったはずです。つまり、金にならない(メリットのない)戦争なんかしない――というスタンスでした。

しかし、今回のトランプ大統領の攻撃は、はじめから「報復のための戦争」的な色が極めて強いように見えます。北朝鮮や中国を牽制する狙いがあったにしても、総じて考えれば、ロシアとの関係が悪化してしまうことのほうが、よっぽど損をするに決まっているからです。しかも、今日になって、「必要とあればまた空爆する」とか主張しているし……

つまり、感情というか、人道主義を優先した攻撃だった――と、個人的にはやっぱりそう思ってしまうのですが……しかし仮に本当にそうだとしたら、「戦争が原始化してしまった」ともいえるわけで、これまでの戦争と違って、それはまったく予測不能という意味において、とても恐ろしいことのような気もします。

とはいえ、自国の利害はさておき、「罪のない人や子供たちをサリンで殺害することは絶対許さん!」とするトランプ大統領の姿勢は、世界中のあらゆる不幸をしょせん他人事としてしか見ていない、日本や国連各国が見習うべきものかもしれない……というふうにも少し思います。

 

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