「人道主義」の果てに世界が滅亡するなら仕方ない?

トランプ大統領がシリア空爆を決断したのは、化学兵器で殺された人々の惨状に心を乱されたから。とりわけ、地面に倒れて痙攣しているように見える子供が、救助隊員に水で洗い流されている映像と、すでに死亡している双子の赤ちゃんを、その父親が泣きながら抱きかかえている映像をみて、「絶対許せない!」と思ったからだった――

と、つまりトランプ大統領の極めて個人的な感情による軍事行動だったことを、アメリカ自身が明らかにしたわけですが……しかし、いくらなんでも、世界一の大国であるアメリカが、なんの裏(損得)もなしに、そんなことをするはずはないだろうと、どうしても勘繰りたくなってしまいます。

政治家に限らず、たとえば経営者の言動にしても、その真意というのは巧妙に隠されているのが常だからです。「そうはいってもアンタ、本当はコレコレこうしたいんでしょ?それが狙いでしょ?」と、簡単にいえばそういうことです。

権力者たるものが一時の感情に流されていいのか?

しかし、今回のトランプ大統領には、そういう感じの「裏」が見えません。というより、裏を考えれば、失敗だったと思わざるを得ないことは、先の記事に書いたのでここでは端折りますが、要するにぼくは、トランプ大統領の個人的な感情による軍事行動だったという報道を、そのまま鵜呑みにしているということです。

で、本当にそうだとするなら、世界の秩序を担っている権力者たるものが、一時の感情にこうも簡単に振り回されていいのか?そんなことで世界の秩序を保てるのか?という疑念が沸くのは当然ですが……しかし、現行世界の秩序は、はたして本当に保たれているといえるのか?というふうにも思います。

 

秩序のために子供が犠牲になる世界

いつだったか、田原総一朗が司会を務める「朝まで生テレビ」を見ていたときに、世の中にはこんなに頭のいい人がたくさんいるのに、エジソンやアインシュタインとか、アレキサンダーやナポレオンとか、ガンジーやマザーテレサとか、天才や英雄や人格者もこれまでたくさんいたはずなのに、なぜ世界にあるさまざまな問題はいっこうに解決しないのか?なぜニュースの話題は延々尽きないのか?とか……そんな幼稚なことをダラダラ考えたことがあって、結局、人類は一歩も前進できていないと――そういうふうに勝手に結論付けたのですが(苦笑)

でも、だとするなら、人類は破滅に向かってただ突き進んでいるだけ、というふうにも言えるわけで、じゃあどうせ破滅するなら、お金とか損得とか、いわゆる「実利」の奪い合いの末の破滅じゃなくて、たとえば今回のトランプ大統領のような、化学兵器で殺された子供をみて「絶対許さん!」的な感情の末の破滅のほうが、まだマシなような気もします……。

ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」という小説の中で、イワンという登場人物が、幼い子供を無残に殺戮することが、世界の秩序を保っているのだとしたら、そんな世界を俺は死んでも認めることができない、もしもこの世界がそんな世界であるならとっとと滅んでしまうべきだ――とか言っていましたが、確かにそうかもしれないとぼくも思います。

 

9.11同時多発テロ以上の衝撃

政治の世界にしろ、会社経営にしろ、目的のためには犠牲を厭わず、ある意味冷酷に徹することが美学とされる傾向がありますが、そもそも、そうまでしてその目的を達成する必要があるのか?それで守られた全体の八割にどれだけの価値があるのか……?

と、やや強引かもしれませんが、今回のトランプ大統領の決断は、そんな問いを世界に投げかけているような気もしなくはありません。ええ、だとしたらどうすればいいのか?というのは、残念ながら凡人のぼくにはぜんぜんわかりませんが……(苦笑)

ともあれ、今回のシリアへの空爆は、かつてないほど世界に衝撃を与えたことは間違いないと思います。確かに、見た目の派手さでいえば、9.11同時多発テロをはじめ、他にももっとたくさんあるでしょう。しかし、戦闘のその真意にシナリオが存在しない意味において、天と地ほども差があります。

今後、世界はますます混迷を深め、本当に滅亡してしまうかもしれません。しかし、仮に人道主義の果てにそうなってしまうとしたら、それはそれで仕方ないのかな……と、ちょっと思います。

 

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