笑いすぎて小便が止まらなくなった話

ぼくのアパートから一番近いスーパーへ行くには、五十メートルくらいの川幅があるわりと大きな川を渡らなくてはなりません。

その川を北に少し行くと海があって、アパート前にあるバイパス沿いの橋も合わせると、海までの間に橋はぜんぶで五本あるのですが、目的のスーパーはバイパス沿いの橋からかぞえて二本目の橋の先にあるので、その橋とバイパス沿いの橋の二本しか、基本的にぼくは使いません。

いや、バイパス沿いはうるさいから、大抵はアパートをでてすぐ、裏道の住宅街へ避難することのほうが多いです。だからほとんど二本目の橋しか普段は使わないのですが、海風を浴びたくて、一番海よりの五本目の橋まで足をのばすこともあります。

五本目の橋をわたった先には、むかしスポーツ会館(通称:スポ館)というのがあって、中学のとき柔道部の練習で週になんどか通っていました。

「柔道部」といっても、仲間うちでワイワイやっていただけというか……同級生のいわゆるジャイアンみたいなやつに無理やり一緒にいれさせられて、だからぼくと数人の仲間は、一応スポ館にはいっても、なんだかんだと理由をつけて練習をさぼっていました。

マジメに柔道をやっていたジャイアンは当然怒って、そのたびに厳しい乱取り(柔道の練習の一つ)をぼくたちに強要し、それに嫌気がさしたある日、そもそもスポ館にも行かず、さらに練習をおえてスポ館から帰ってくるジャイアンを待ち伏せして、用意していたロケット花火を撃ちこんでやりました。

もちろん至近距離から撃ったわけではなく、まさにこの五本目の橋をはさんだ向こう側にいるジャイアンにむけてロケット花火を飛ばしただけで、要はからかい半分のつもりでやったのですが、とにかくそれで怒りくるったジャイアンと、その側近を気どっていた運動神経抜群の澤という奴が、全速力で自分たちを追いかけてきました。

五十メートル……いや、橋のたいぶ手前にまだ澤たちはいたので、実際はそれ以上離れていたと思いますが、余裕をかましてチンタラ逃げていたら、どうもこのままだと澤に追いつかれるかもしれないとなって、一緒に逃げていた一太という奴が、「散るべ!みんなバラバラに散ったほうがいい!」と、走りながらものすごい剣幕で叫びました。

しかしそれは一太の足が一番遅く、このままだと澤の餌食になるのは一太に決まっていたので、つまり自らの保身のために一太がそういったことは見え見えでした。だからぼくも、一緒に逃げていたほかの連中も、一太の提案を無視して――というより、一太をエサに澤から逃げ切るつもりで、ひたすらまっすぐ走りました。

やがて、一人だけ散るしかなくなった一太が右に曲がると、案の定それを追いかけて澤も右に曲がってくれました♪そしてすぐに、「うわー!マジで!マジで!マジ違うって……!!わーはマジで一緒にいただけっ……!!主犯は大三郎っ……!!」という、一太の悲鳴まじりの言い訳がきこえて……

誰もがわかり切っていた当然の結果が、こうして現実になったことのあまりの可笑しさに、ぼくは走りながら小便を漏らしてしまいました。いや、あまりの可笑しさに、ぼくは小便を止めることができませんでした……。

で、こんなふうに小便が止まらないことがあるというのが、ちょっとショックだったというか……自分の体なのに、こんなにも思いどおりにならないことに、ぼくはびっくりしました。いや、もしかしたらこのことは人間にとって、ちょっとした快楽の一つかもしれないと思います。

というのも、いつだったか歯磨きをしながら小便をしていたときに、歯ブラシの毛先が喉の奥にふれて「オエッ!!」となった瞬間、そうするつもりもなく、小便が「シャッ!!」と勢いよく飛びでて、それ以来なんとなくわざとそうして楽しんだりすることがたまにあるからですが……(苦笑)

ちなみにこれをするときにぼくはいつも、人間の体とは単純なのか複雑なのか、よくわからない気持ちになります……(笑)

 

1+
 
スポンサーリンク